夫の扶養からぬけだしたい という本を読みました。
夫のモラハラに追い詰められる妻の心情が、丁寧に描かれていました。話の内容や結末は本書に譲ります。
わたしがこの本で気になったのは、あとがきに書かれていたこの文章。
「本当にこんな夫いるの?」という人と「うちの夫について描いているのかと思いました」という人が半々くらいだった という旨の文章。
わからない人には全くわからない、モラハラという人の生態。
ここで問題にすべきは、なぜ自分は、「本当にそんな人いるの?」という側に回れなかったか、という点。そしてどうしたら、今後「モラハラ」とは無縁の世界にいけるか?という自分への質問。
自己犠牲という名の愛
ある心理学の論文によると「少し無理してでも相手の役に立ちたい」という気持ちを、お互いが持っていると、その二人は良い関係を築けるそう。それはわかりますよね。
でも大事なのはここから。
少しでも自己犠牲してしまうと、自己犠牲した個人の幸福感はダダ下がりになるんですって。だから、パートナーに自己犠牲させてはいけないし、自分も自己犠牲してはいけないの。
このあたりの話はきっと、カサンドラ界のみなさまには、腑に落ちるお話ではないかしら。
相手のことが好きだから。そう思っていても、二人がいつまでも仲良くいるために自己犠牲をしてはならない。
「正義」と「正義」がぶつかり合うとき
人にはそれぞれ正義がある。本書の夫 つとむくんにも彼なりの正義がある。そしてその大義名分をつらぬくために、妻に暴言を吐いてしまう。
「自分が正しい!」と思うとき、それに加えて「(相手のために)自己犠牲をしている」と思うとき、きっと人は余裕がなくなるのだ。自分ばかりが損している気になって、相手に優しくなれない。
相手の立場に立って考えるというのは、かなりの高等技術で、精神的な余裕がなくなると難しい。
本書を読んでいて、人はもっと我が儘でよいと思った。
家族のためにやりたくもない仕事をし、上司からの無理難題に応えるつとむくん。専業主婦という立場に引け目を感じ、夫に忖度してしまうももこちゃん。
変に無理をすると、優しくなれないのは当然だから。
自分に優しくしないとダメですね。
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